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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 Mme Marie=Paule MEUNIER(マリー=ポール・ムニエ)氏 M.Franck Serraud(フランク・セロー)氏/Comité International de la Volaille de Bress(コミテ・アンテルナショナル・ドゥ・ラ・ヴォライユ・ドゥ・ブレス) ブレス鶏生産者組合

フランス校教壇から

2020.02.01


一番右側がムニエ氏、その左側にセロー氏

フランス校では、料理・製菓の講習だけでなくワインや特産品の講習・見学もあります。
その中で今回はフランス世界に誇る有名な鶏「ブレスの鶏」についての講習です。
講師としてブレス鶏生産者組合から広報担当のマリー=ポール・ムニエ氏と職人のフランク・セロー氏にお越しいただきました。

まず始めに本物の「ブレスの鶏」の証である3つの特徴について説明がありました。
・足の金具:生産者情報などが記載されている。
・首から掛けられたメダル:色別で鶏の種類がわかる。
・手羽の金具:生産者組合から認められた印。
その後、何故このように証明証が必要になったのかという話があり、AOC(フランスの原産地呼称管理制度)からAOP(EUの原産地呼称保護制度)へ管理体制が変わったことなど、過去から現在に至るブレスの鶏に関わる歴史の話をして頂きました。
その中で驚いたのは、17世紀過ぎには既に価値のある鶏と認識されており、賃料として「ブレスの鶏○○羽」で支払われていた記録が残っていることです。
また、18世紀の美食家としても有名なブリヤ・サヴァラン Brillat-Savarin の著作『美味礼賛』の中でも、「Reine des volailles, volaille des rois」 「家禽の女王、王の家禽」と称賛されているそうです。

そして現在もその価値は変わらず、特にクリスマスの時期になると、シャポン Chaponという特別に育てられ、布に包まれたブレスの鶏が市場に並びます。
地元ブレスでは1862年から続く「Les Glorieuses de Bresse」という品評会も行われており、フランス校のナレ先生、コアール先生も審査員の一人として参加しています。

今回、この「鶏を布に包む」方法を職人のセロー氏に実演、解説して頂きました。

手際よく布で形を作っていくセロー氏

「植物性の布地を使い、コルセットの様に鶏をしっかりと包み、締めて形を整える。」
「48時間後には体内の脂肪が全身に行き渡り、表面が艶やかに白く仕上がる。」
そして布に包むもう一つの理由は、保存の為でもあるそうです。
内臓付きで布に巻くと、28日間も保存できるそうです(内臓を抜いてしまうと8日しか保存できない)。


研究生もセロー氏に教わりながら挑戦します。

布に包む前のブレスの鶏

布に包まれた状態。綺麗に丸く形が整えられています。

48時間後の状態。表面が艶やかで白くなっています。

この後は、「ブレスの鶏」に関わる3つの要素(土壌、品種保護、飼育規定)について細かい話がありました。
良い品質を保ちブランドを守り続けるためには、組合と農家の連携努力や環境整備などが必要とのことで、普段研究生が実習で何気なく手にしている食材に、どれほどの熱意が注がれているのかを実感した内容でした。
ムニュ・スペシオで自分の代表作となる料理を考えている研究生には、「食材の活かし方・大切さ」を考えさせられる良い機会だったと思います。

講習して頂いたムニエ氏、セロン氏と研究生全員で記念撮影。