FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

調理外来講習 M.Romuald FASSENET(ロミュアルド・ファスネ氏) / Château du Mont Joly  (シャトー デュ モン ジョリー)

フランス校教壇から

2023.06.08

今回の講習は、フランシュ=コンテ地方のホテルレストランChâteau du Mont Joly(シャトー デュ モンジョリー)からシェフのM.Romuald FASSENET(ロミュアルド・ファスネ)氏にお越しいただきました。
 

ファスネ氏はパリのトゥール・ダルジャンやアメリカ、ドイツなどでレストラン勤務を経験し、2004年にM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を受章。2007年に現在のシャトーを購入し、土地の食材を用いた料理、イベントなどにも積極的に参加しています。店内は30席ほどの小さな店ですが、ガラス張りの客席からホテルのプール越しに広大なパノラマを望むことができます。特に初夏から夏にかけてはテラスでも食事が出来て、心地よい時間を過ごす事ができるレストランです。                                          
国際的にも活躍されていて、2009年、2011年、2013年、2015年のボキューズ・ドール大会で日本代表のコーチを務められました。2013年大会では日本代表最高位3位という快挙に大きく貢献しました。2019年の大会ではフランス代表のコーチも務められました。

日本食材では和牛が好きで、フランスの脂肪が少ない赤身肉とは違い、きめ細かく入った脂肪(サシ)がジュワっと旨味と共に広がる美味しさが好きとおっしゃっていました。レストランでは柚子や黒にんにくなどの日本食材も扱われています。

本日の講習では現在レストランで提供している魚料理、肉料理を作成していただきました。


Rouget barbet et tempura de Romarin , Curry d'Aubergine au sauce corail 

魚料理はルジェ(ひめじ)の1品です。

ルジェは三枚卸しにしますが、2枚のフィレを尾の部分で切り離さないようにし、骨を取り除いて魚の形が残るように処理します。ラップで巻いてコンベクションオーブンの蒸気モード50℃で8分火を通します。氷水に落として1度冷まし、ラップを外してオリーブ油を塗り、オーブンで中までしっかり温めたら、仕上げにガスバーナーで皮目を炙って香ばしくします。
ソースは玉ねぎ、人参、セロリ、ポロネギの角切りを炒め、ルジェの骨とローストしたラングスティーヌの殻、トマトペースト、白ワイン、水を加えて煮詰めます。仕上げに生クリーム、ルジェの肝とバターを混ぜ合わせたバターを加えてハンドミキサーで泡立てて仕上がりを軽くします。
つけ合わせにはカレー風味の茄子のピューレ、塩ゆがきにし、オリーブ油で香ばしくソテーしたホワイトアスパラガス、ローズマリーの天ぷらを添えています。
レストランではサービスの人にローズマリーの天ぷらから食べ始めるように説明してもらっているそうです。最初に食べて口の中をリセットしつつ、穏やかなローズマリーの香りを保ちながらルジェを食べてほしいというシェフの考えです。

シェフの指示に従ってアシスタントをしている研究生の様子です。

Ris de veau doré, compoté de Rhubarbe et Oignon rose, Pois frais et Mousserons au Jus de Veau

肉料理はリ・ド・ヴォの1品です。

リ・ド・ヴォとは子牛の胸腺肉のことをいい、ミルクを飲んでいる時期に必要な部位で、成長につれて失われる器官です。(成長とともに小さくなる希少部位です。)肉質は柔らかく濃厚でミルキーな味わいが特徴です。リ・ド・ヴォは軽く下ゆでして表面の膜と筋を取ります。ラップに包んでコンベクションオーブンの蒸気モード63℃で25分火を通します。澄ましバターとにんにくで表面を香ばしく焼きます。ソースを加えて照り焼きのように艶を出すように仕上げます。

つけ合わせは以下の通りです。

・塩ゆでしたアスパラガス

・皮を剥いて角切りにし、オーブンでローストしたルバーブを飴色になるまで炒めた赤玉ねぎと混ぜ合わせた
ピューレ

・ルバーブの角切り

・玉ねぎのピクルス

・エストラゴンパウダー

・エストラゴンオイル

レストランではソテーしたムスロンというキノコと、塩ゆでしたグリーンピースを子牛のソースと合わせ、サーヴィスの方がテーブルの目の前でソースを盛りつけて提供になります。

研修生から研修の感想を聞くと、研修当初は全体の仕込みが中心でしたが、現在はシェフと一緒に肉料理を担当していて、火入れも任されています。火入れを任されてからは今まで以上に責任感も芽生えて研修の意識が変わったそうです。他の研修先の研修生がレストランに食べに来てくれることもあり、研修に出てからも研修生同士の交流もあるそうです。

講習を受けた研究生からは「ローズマリーを天ぷらにする発想が斬新でした。食べる順番までこだわりを持っていて、お客様の食べる姿をイメージしてこれから料理を考えないといけないと思いました。」

「今までは切り身が盛りつけられている魚料理だったが、ルジェを切り離さないことで魚の形のまま盛りつけられているのが初めてで驚きました。お客様への提供方法も大事だと実感しました。」などの感想があり、今後行われる卒業記念制作「ムニュスぺシャル」のヒントになった講習でした。

最後に皆で記念撮影を行いました。