FRANCE

辻調グループ フランス校

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玉川海南さん:2019年秋コース

在校生レポート

2020.02.04

フランス語への興味がフランス料理へとつながりました

高校生の頃、海外文化研究同好会という部活に所属していて、その活動の中で初めてフランス語に触れて、もっとフランス語とフランスの文化について学びたいと思ったことがきっかけです。当時は英語以外の言語がとても新鮮でフランス人の先生に直接教えて頂き、その度にフランスのお菓子やフロマージュ(フランス語「チーズ」の意味)を食べさせてもらって食文化にも興味が湧きました。今でも初めてフランス語を聞いた時の「なんて優雅な響きをした言語なんだ」と思ったことは忘れられません。ちょうど同じ時期くらいから料理を作ることも面白いと思い始めていたので自分の興味のあるフランスで料理について同時に学べるフランス校はまさにぴったりの進路でした。


フランス名物「ストライキ!」と明るく笑顔で「ボンジュール!」

 最近一番驚いたことは、今フランス全土で行われているストライキについてです。バカンス中に予約をしていた電車がストライキで走らなくなってしまい、やむなく予定を変更したりしました。日常生活にも支障をきたすはずなのに自分たちの主張のためにそこまでやるのだなと国民性の違いを実感しました。また、いつも街に出るたびに素敵だと思うのはお店に入るときは必ず皆「Bonjour ! (こんにちは)」とあいさつをし、お店を出るときも「Au revoir(さようなら)」や「Bonne journée (良い一日を)」と笑顔を見せてくれるところです。最初は異国の地で買い物や食事をするのはとても緊張していましたが、気さくなフランスの人々のおかげで今では私も毎回お店に入るときは、張り切ってあいさつをすることを心がけています。


絶えず前進することを学ぶシミュレーション実習

 フランス校の実習は正直何とかついていくのに必死です。予習をするのはもちろん同じエキップ(調理チームのこと)や違うエキップの人とコミュニケーションをとって常により良い料理を目指します。しかし自分では実習の前に万全の準備をしたつもりでも失敗をしてしまうことが多々あって、始めのうちはいつも落ち込んでいました。それでも毎日目まぐるしく実習を重ねていくうちに失敗したことを長い間気にする暇もないと分かってきたので、しっかり反省をして次に成功させるためにはどうしたらいいかと考えるようになりました。レストラン形式の実習は、実際にオーダーが入って仕上げていくのでより実践に近いものになっています。仕込んできたものを全力でお客様への提供まで持っていく瞬間は本当に戦いのようですが、終わった後にはすごく達成感が得られます。


フランス料理界のトップレベルをすぐそばで見ながら、フランス料理のありとあらゆることが学べます

やはりフランス人の考えるフランス料理を学べることです。私の予想以上にフランス校は外部のシェフの講習が多く、ハイレベルな技術を持つシェフたちの作る料理と哲学を直接目の前で見ることができるのは、とても貴重で日本では体験できないことだと思います。フランスに来てから始めて知った食材や豊富なワインやフロマージュ(チーズ)を試せることも大きな魅力の一つです。


寮生活:案ずるよりも生むがやすし 

 フランス留学前は心配事の一つだった寮生活はすぐになれることができました。同室の人に恵まれていたこともあって週末は買ってきたワインで乾杯したり、リヨンへ出かけたりと楽しく過ごしています。一日の大半を同じ年頃の人たちと送るというのはなかなかない経験でフランス校の寮生たちの不思議な連帯感のようなものを日々感じて生活しています。もちろん共同生活なので気を使うべきこともありますが、あまり遠慮をしすぎないというのも無理なく寮生活を送るコツかもしないと考えています。


バカンス中の南仏旅行では美しい風景が印象に残りました

 バカンスは南フランスのニースとパリに行きました。特に素晴らしかったのはニースからバスで30分程度の山の上にあるエズ村です。鷲ノ巣村と呼ばれるだけあって高台から眼下に広がる絶景を見ることができます。澄んだ青の地中海、遠くに見えるニースの海岸線、冬でも晴れた空はいつもよりはるかに近くに感じました。小さい村の中は石畳の小道が迷路のように入り組んでいて、おとぎの国に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。どこを切り取っても絵になる美しい村に行けたことは旅の中でも特別な思い出になりました。バカンス中は思わぬトラブルもあったり学校以外で聞くフランス語に戸惑ったりと大変なこともありましたが、フランスという国の一端を感じられたような気がしたので行けてよかったです。

 

フランスの三ツ星レストランで、お客さまへ出す料理を作ることのエッセンスを感じることができました

 食べ歩きはミシュラン三ツ星の「レジス・エ・ジャック・マルコン」へ行ってきました。アミューズから遊び心と高い技術を感じるようなコースで、全皿を通して確かなクオリティーとディテールの細やかさがあり、とても満足することができました。ちょうどレストランへ行く前にシェフであるジャック・マルコンさんが学校で講習をしてくださっていたので、彼の話していた料理への考えやこだわりを思い出しながら食べることができて楽しかったです。印象的だったのはフロマージュがお皿に料理のように、テクスチャーや見た目をアレンジされて盛られていたことです。三ツ星を取るようなレストランではフロマージュ一つとっても工夫を施してお客様を喜ばせようとするのだなと大変勉強になりました。他にもフランス校を卒業する前に「ポール・ボキューズ」と「アンヌ=ソフィー・ピック」というフランス料理を学んでいる人なら行くべきレストランに訪れる予定なので、様々なことを一流の料理やサービスを通して学び取りたいです。


スタージュ(実地研修)へは新しい自分を発見するために飛び込んでみたい

 研修は希望しています。まだまだ技術も語学も未熟で不安はとてもあるのですが、それよりもフランス人に囲まれてフランス語だけを使う生活とはどのようなものなのかなという興味の方が強いです。全く通用しないかもしれないし、困り果てることも山ほどあるに違いないのですが、自分の持っているものすべてを使ってコミュニケーションがとれたならきっとそれだけで研修へ行く意味があると考えています。研修出発まで気がつけばもう時間も少なくなっている中で今まで以上に勉強して、何よりも恐れることなくどんどんフランス語を使っていこうと思います。

フランス校進学を決断したなら全力で突き進んでみよう!

 フランス校へ入学するために、金銭面などで両親や祖母に全面的に助けてもらわなければ来ることもできませんでした。本当にたくさんの人に支えてもらってようやくフランスにたどり着けたので、それだけ頑張らなくてはなりません。フランス校へ入学を考えているのならば、慎重に、けれどやると決めたならやれるところまでやってみようと決断することも必要だと思います。毎日忙しいし、つらい時は本当につらいのですが、同じくらい今までに体験したことのなかった楽しい瞬間がたくさんあります。フランスでしか味わえないことは絶対にあるので、環境が許すのならば自分の中の興味、関心に忠実になって、ぜひフランス校で頑張ってください!

フランス校進学を考えてみるみなさんへ

フランス校生活を送るうえ必至である数とアルファベットだけは日本でやってきておいてよかったと思いました。普段の実習だけでなく街中でもお会計の金額だったり、日付、バスの表示だったりと日常生活で使わないことがないからです。また単語テストが毎週あるので、日本で習った調理用語はフランス語のつづりで書けるようになっておくと楽だと思います。やみくもにつづりを覚えるのではなく発音から何となくアルファベットを導き出せるようになっておくとかなり便利です。

 フランス校に来た当初は講習中にシェフに質問をしすぎて「マドモワゼル・クエスチョン」(質問屋さん)と呼ばれていました。名誉なのか不名誉なのかは分かりませんが、そのニックネームに恥じぬよう最初は日本語でしていた質問もフランス語でするようになりました。フランス校にいる間は、もしシェフに質問が通じなくても訳してくださる先生がいるので、間違ってもいいからフランス語を使っているとだんだん覚えることができます。質問ができるようになると実習中に聞きたいことができても困ることが少なくなったので、まずはとにかく口に出すことが大事だなと常々思っています。

 フランス国鉄SNCFはとても重宝します。これを使わずにリヨンやパリなどの街へはいけないし、ストライキをしていなければちゃんと時間通りに来ます。何よりほとんどの車両にトイレとコンセントがあるので、日本のように気軽にトイレに行けないフランスでは心強い味方です。貴重な充電もここで回復させておくのがベストです。

 困ったこと、わからないことがあればまずは調べる習慣がついたこと。SIMカードを入れてもスマホが使えなかったり、ATMにカードが吸い込まれて戻らなくなってしまったことがありましたが、何か打開策はないかと調べて考えて、その時にできる最良の解決策を見つけることができました。トラブルが起きるのは異国にいるのだから仕方ないと考えて、けれど根気強くあきらめない心を持つことが必要です。

 ワイン、ビールが安くておいしいものがたくさんあります。お気に入りのメーカーや種類を見つけるのはとても楽しいです。これからもフランスのおいしい一本を探求していきたいと思います。

(*フランスでは18歳以上で成人となり飲酒が認められています。)

氏名:玉川 海南 TAMAGAWA Kanan

出身高校:東京都立雪谷高等学校

辻調グループ出身校:エコール辻 東京 辻フランス・イタリア料理マスターカレッジ