OSAKA

辻調理師専門学校 (調理)

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「満田先生の煮物は斬新です!」~日本料理だけを学ぶ「日本料理学科」ブログ19~

日本料理クリエイティブ経営学科
日本料理本科

2021.11.15

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4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエィティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。


今日は外来講師による日本料理理論「会席料理の調理法と構成」の授業を紹介します!
授業を担当いただくのは大阪豊中市にある「とよなか桜会」御主人、満田健児先生です!
どの様な先生か簡単に説明しますね。

1969年生まれ、静岡県出身。辻調理師専門学校卒業後は 
専門的に料理ができる道に進もうと和食料理店で修業を開始。
二つ星レストランシェフの元で、和食のノウハウや器、彩り方を学ばれ、
その後リーガロイヤルホテルなだ万でさらに腕を磨き【とよなか桜会】をオープン。
常にオリジナリティを大切に、ここでしか食べられない味を追求されています。

キンコンカンコ~ンと授業開始のベルが鳴ります。これから180分間の授業がスタート!
今日の授業テーマは「桜会で提供される煮物を学ぶ」です!
これまでの授業で学生は一般的に基礎とされる煮物を学んできました。
基礎を身につけた上で次は応用として実際、お店で提供されている煮物を学ぶのです。
特に満田先生は固定観念にとらわれずオリジナリティな調理法がお得意です。
これから始まる授業も驚きの数々が期待できそうですね!



まず桜会の「だし汁」の引き方を教えていただきます。
日本料理は「だしが命」とよく言われます。
また、だしの味をみればその店のレベルがわかるとまで言われています。
使う材料は水と昆布、削り節だけですが店それぞれ、こだわりの引き方があります。
満田先生からひと言「だし汁は静かに漉すことよりも素早く漉すことが秘訣です!」


だし汁は引き立てが一番おいしいのです。
「みなさん!風味が落ちない間に飲んでください」全員が試飲します!


実習では毎回引いている辻調のだし汁と比較してどうだろか?
目をつぶり真剣に風味と味を確かめます。
隣の女子が「いつもになく真剣やなぁ~」といった表情で見つめます(笑)


これは「スチームコンベクションオーブン」名前が長いので「スチコン」と略称しますね!
スチコンはオーブンの一種で、温風と水蒸気を用いて調理を行います。
温風のみを利用する「ホットエアー」、水蒸気のみを利用する「スチーム」、
温風と水蒸気を利用する「コンビネーション」のモードを備えるのが一般的です。

コンビネーションモードでは庫内に蒸気と温風を吹き込みファンで循環させながら調理を行い
摂氏100度を超えた過熱水蒸気は熱容量が大きいために熱の回りがよく、
焼きムラも少なくなるため特に大量調理に向きます。
また湿度も高くなるので、食材から水分が抜けて縮んだり表面が乾いて固くなってしまうこともありませんよ。
使い方を習熟すれば「焼く」「蒸す」の他、「煮る」「炒める」「炊く」といった調理も可能であり、万能の調理器具ともいえますね。
実は満田先生はスチコンを使った調理が超得意なのです。辻調でもスチコンでの調理をしっかり学べますよ。


なにやらスチコンの中で調理されていますよ。
中身は何だろうか?設定は110℃のホットエアーですね。


1時間半を経過「できたよ~」のブザーが鳴り響きます「ブー!」蓋を開ければ、とこぶし、じゃがいも、かぼちゃ、人参です。
いずれの野菜も1時間以上加熱していたけど全く崩れていませんよね。
それから煮汁も煮詰まることなく、おいしい味付けを保てていますよ。スゴイ!便利!


スチコンで仕上げたじゃがいも、かぼちゃ、人参は相当柔らかいです。そお~っと盛り付けます。
「この料理の食感は鍋で煮るより相当柔らかくうちのお客さんからも好評です」


まずは一品目「とこぶしとインカの目覚めの醍醐煮」が完成!*インカの目覚めとは今回使ったじゃがいもの品種の事です。
じゃあ醍醐煮とは何?と聞かれそうですが今日は話が長くなるのでやめときます(笑)


満田先生、次の料理をお願いします! 
「私は野菜の形を崩して味を含めていく料理が好きです。これから栗とさつま芋を蒸します!」


栗、さつまいもを蒸すこと30分が経過、次は裏ごします。
「蒸した野菜は熱い内に裏ごさないと固くなりスムーズに漉せません。」特に栗は固くなるぞ!


講習室は一番後ろの席に座っていても先生の手元は常にアップで映し出されています。


授業で配布されるプリントには各料理で使う食材の名前、分量、作り方が明記されています。
そのため学生は「授業を観る、聞く」に専念できてそれぞれのポイントだけ忘れないように記録すればいいのです。
でも、きれいな字で書かないと自分で書いても忘れるぞ(笑)


では仕上げに入ります「裏ごし味付けした栗、さつまいもの生地を絞ります」
モンブランケーキと同じですね! 日本料理にこの発想は斬新です!


完成!「真鯛の丹波蒸しモンブラン仕立て」です。
モンブランの下には鯛がかくれています。オシャレだ!


続いて3品目お願いします!
「オッ時間が押してきたので助手の先生、味噌を練っていただけますか、元の味噌の固さになるまでお願いしますよ」
ハイ!わかりました。


「しっかり練った味噌は裏ごしして味噌の固さを均一にします」この時点で味噌には酒、砂糖、みりんが入っており味付けもできています。
先生!ところでこの練り味噌は何につけて食べるのですか? 大根につけて食べます。


日本料理で定番の「風呂吹き大根」という煮物があります。
薄味で軟らかく煮た大根に味付けした練り味噌をかけて食べる料理です。
大根好きにはたまりませんね(笑)
この大根見た目は普通に煮た大根に見えますが実は、100℃の油の中でじっくりと蒸して火を通しています。
味付けしなくても油のうまみとコクで大根の持ち味を引き立てています。
表面もツヤツヤで、おいしそ~


今日は蒸して火を通したタラの白子との組み合わせ、練り味噌をのせてとろみをつけただし汁をかけます。
これで完成じゃないぞ!次の写真に注目。


練り味噌の上には「泡、泡」これは何だ? 水、生姜の絞り汁、レシチンを合わせて泡立てて作った泡です。
学生は初めて目にした料理です。
「すげー」「あとで質問しよう」「レシチンってなんだ?」「どんな味だろうか?」「なんで泡なの?」様々な声が聞こえてきます。
ここで前半の90分が終了!


休憩時間も学生からの質問攻めです。「この泡は大根のほかどんな食材に合いますか?」
「今度先生の店に食べに行くと食べられますか?」とても積極的です。いいね(笑)


後半の授業では、まずフォアグラを煮ます。西洋料理でよく使う食材ですが特徴が理解できていれば日本料理でも使えますよ。
それにしても、おいしそうに煮えています!グツグツ



「煮物を盛合すときに意識してほしいことは濃い味と薄味の料理を盛り合わせる事!」
味のバランスを考えた一品ですね! 日本料理ではあまり使わないペリーラ(緑色のヤツ)
と紫菊の花びらを上からパラパラ散らすと完成。
「ペリーラは日本料理と合います。
ほかにも普段使わない食材でも特徴をうまく利用すれば、新しい日本料理を生み出せますよ。
固定観念は捨てて常に頭を柔らかく!」
これで本日の4品が完成しました。


最後は満田先生から学生に質問です!
「白板に書かれた内容から一つ答えやすいものを発表してください!」


「日本料理の魅力は食材の持ち味を引き立てて仕上げるところです。特に割烹料理に興味があります。
10年後には自分で割烹店を開きたいです」


「バイトで貯めた金はすべて食べ歩きに使っています。
すし屋に就職したいのでミシュランとか食べログで評価の高い店ばかり行っています!」すごいね!
あっという間の180分授業が終了!
満田先生お疲れ様でした。また授業お願いします。


~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエィティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。