調理外来講習 / M. Nicolas BONNARD (ニコラ・ボナール氏)
今回の外来講習はパンの特別授業です。2日間にかけてハンズオン実習を行いました。講師は毎期授業に来ていただいているニコラ・ボナール氏です。
ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT MEUNERIE社で専属のブーランジュリー講師を務められました。その後、リヨンの旧市街にて「L'EPIAISON(レピエゾン)」のオーナーシェフを長らく務められていました。現在はコーディネーターやパンの講習を行い、技術指導に取り組まれています。 今回は6種類のパンの実習とフランスの各地方のパンの紹介をしていただきました。
まず、実習で作成した6種類のパンを紹介します。
BAGUETTE DE TRADITION FRANCAISE バゲット・ドゥ・トラディッション・フランセーズ
フランスで日常的に食べられる伝統的なバゲットです。とてもシンプルですが焼く前の生地はとてもソフトで取り扱いが難しく、成形の際に無駄に触りすぎないよう細かく指導していただきました。ボナール氏曰く、表面の切り込みはそのお店の「看板」といえ、それほど重要だそうです。
BUN'S バンズ
ハンバーガーに使われるパンでお馴染みのバンズです。このパンの特徴は牛乳を使うことでシンプルなパンに乳脂肪分が入り、リッチな味わいと柔らかさをプラスすることができます。ノーマルのバンズとイカ墨を練りこんだ黒いバンズを仕上げました。上にはゴマ、ケシの実、かぼちゃの種をつけました。
PAINS AROMATIQUES パン・アロマティック
アロマティックとは「香り・芳香のある」という意味で、中に様々な具材を入れることでバリエーションを出すことが出来るパンです。今回はレーズンとクルミを加えましたが、チョコレートとオレンジピール、ミックスハーブに焼いたベーコンとシェーブル(山羊)のチーズ、乾燥トマトとオリーブ、といった組み合わせもおススメだそうです。
PAIN BEAUJOLAIS パン・ボジョレ
「ボジョレ」の名前の通り、生地に使用する水分だけはフランス校のある地域で作られる赤ワインのみ!焼いてしまうとアルコールも抜けて豊かな香りに満たされます。具材にリヨンで作られるソーセージとヘーゼルナッツを使用し、成形もソーセージに似せています。
PAIN MEULE DE PIERRE SUR LEVAIN パン・ムール・ドゥ・ピエール・スュル・ルヴァン
昔ながらの石うすで挽いた小麦粉を使用し、製法もイーストではなく天然酵母を使うという伝統的な食事パンです。ルヴァンと呼ばれる発酵種を使用するため酸味と旨味をしっかりと感じることが出来ます。
SEIGLE AUVERGNAT セーグル・オーヴェルニャ
グルテンを含まないライ麦粉(セーグル)で作られたパン。小麦粉とは異なる独特な香りと酸味、グルテンを含まないため歯切れの良い食感などが特徴です。一見、焦げているようにも見えますがボナール氏は「これぐらいしっかり焼いてちょうどいい」とおしゃっていました。
初めて聞くパン用語が出てくる授業でしたが、ボナール氏の分かりやすいフランス語で戸惑いなく取り組めている様子でした。パン作りの理解を深める良い機会になったと思います。
パン生地の製造手順や生地の発酵に最適な温度の計算の仕方など、理論的な説明はホワイトボードを使って一から丁寧に教えていただきました。また、地方のパンの紹介も実際の写真や、布巾で分かりやすく成形の仕方も見せていただきました。
今まで名前も知らなかった多くのパンの種類や作り方を知る機会となりました。今後、今回学んだことを活かして、自分たちが作りたい料理に合うパンも考えられるようさらに勉強を重ねていくと思います。
そして最後に研究生が作った沢山のパンと、シェフを囲んで記念撮影をしました。