調理外来講習 M.Alain PERRILLAT MERCEROT (アラン・ペリヤ=メルスロー氏) / Atmosphères(アトモスフェール)
今回外来講習としてお越しいただいたのは、フランス東部サヴォワ地方にある湖、「Lac du Bourget」ブルジェ湖付近の小高い山の上にあるレストラン「Atmosphères」(アトモスフェール)のAlain PERRILLAT MERCEROT(アラン・ペリヤ=メルスロー)氏です。
こちらのレストランは2009年よりミシュラン一つ星を獲得されており、2024年時点では、世界でも528軒のレストランしか受けていない、サスティナブル(エコロジーに積極的に取り組んでいる)なレストランの称号『グリーンスター』も獲得されています。また、2009年に「世界のレストランベスト500」にも選出され、さらには、フォワ・グラの名門ルジェ社より最優秀若手料理人として表彰されたこともあり、マルチな活躍をされている実力派シェフです。
ペリヤ氏の料理のテーマは土地の食材や季節の食材を用いて構成されています。中でも、ブルジェ湖から獲れる新鮮な淡水魚を使った料理を得意とされています。
今回の講習ではアミューズと魚料理1品を作っていただきました。
まずはアミューズと呼ばれる、コースの一番初めに提供される1口サイズのおつまみ料理を紹介します。
1つ目に湖で獲れるperche(ペルシュ)と呼ばれる小さな小魚にレモンのシロップ漬けをミキサーにかけてペースト状にしたもの詰めてベーニェ生地をつけて揚げます。そして、筒状の紙の器に揚げたペルシュを飾ります。
2つ目は火を通したひよこ豆を塩とレモン汁で和えたもの、ひよこ豆のピューレ、omble(イワナ)の燻製、赤玉ねぎのピクルス、バジリック・モンターニュを添えています。
3つ目はlavaret(ラヴァレ)という鱒の一種を牛肉を塩漬けにしたハムで巻いて、昆布締めの要領で魚を脱水したものに、プラムを使用した自家製ケチャップとパンを棒状に切って焼いたものをのせています。
4つ目はchou-rave(コールラビ)をシート状にカットし、クルミ酢、クルミオイルで3日間マリネしたものをロール状に巻き、brochet(カワカマス)の卵を上にあしらったもの。
5つ目はパンをタルトレット状に焼き、根セロリのピューレ、ディル、セルフィーユ、マスタードリーフを飾ったもの。
アミューズひとつひとつにもペリヤ氏の得意とする淡水魚を様々な手法で使用していて、綺麗で遊び心のある料理に、この後のコース料理がとても楽しみになると感じさせてくれます。
研修生もお店でこのアミューズの盛りつけ担当を務めていて、シェフの横で淡々と盛りつけてくれていました。
魚料理はombleオンブル(イワナ)を使った1品です。
オンブルはシンプルに塩をして、フライパンで皮目から蒸し焼きにしたもの。つけ合わせは、potimarronポティマロンというかぼちゃの一種を玉ねぎ、にんにくと一緒にオーブンでじっくりローストし、ピューレにしたものです。お皿の縁に添えられているcondiment(薬味)はかぼちゃの種をローストし、すり鉢で粗さが残る程度に潰して、エシャロットのコンポート、醤油を合わせたものです。ソースはエシャロットとローストしたかぼちゃの種、サヴォワ産の白ワイン、オンブルのアラから取った出し汁をしっかりと煮詰め、生クリームを加えてミキサーにかけたものです。仕上げに魚の皮とパン粉をしっかりと炒って細かくしたパウダーを添えて完成です。オンブルのしっとりとした火通しに季節野菜のポティマロンのコクやかぼちゃの風味が随所に感じられる秋らしい一皿となっていました。
最後に、研修生からお店の紹介や、仕事内容、休日の過ごし方を話してもらいました。やはり研修生が1番苦労しているのはフランス語でのコミュニケーションの様です。最初の慣れない内はフランス人と日常会話することでさえも難しいですが、恥ずかしがらず積極的に話しかけていけばたくさん仕事も回ってきます。例え伝わらなかったとしても、毎日少しずつでもコミュニケーションをとっていくことが大切だと研修生もアドバイスをくれました。
最後にシェフと研修生、アシスタントを務めた研究生で記念撮影を行いました。