M.Romain BARTHE(ロマン・バルト氏) / Auberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)
今期第一回目の調理外来講習はロマン・バルト氏にお越しいただきました。バルト氏はシャトー・ド・レクレールから車で30分程の場所にあるボジョレ北部、Vaux-en-Beaujolais(ヴォー・アン・ボジョレ)にある、モルゴンの丘のふもとで、オーベルジュレストラン「オーベルジュ・ド・クロシュメルル」のオーナーシェフをされています。
シェフは仕入れした材料からインスピレーションを得てコース料理の内容を決めるため、メニューには食材名しか書かれていません。そのためレストランでは注文後、どういう料理が出てくるのか興味深いです。また、ソムリエであるマダムに提案されるボジョレのワインと合わせることも楽しみです。
ロアンヌ近郊のミシュランガイド三ツ星レストラン「トロワグロ」やランスの「レ・クレイエール」、「オー・ザルム・ド・シャンパーニュ」、スイス・シェールの「デディエ・ド・クルタン」のなどのレストランで腕を奮った後に2007年に独立し現在のお店を購入、2011年にはミシュランガイドで『期待のシェフ』に選ばれています。
今回は2品の料理を作っていただきました。
1品目は、バターナッツかぼちゃとエスカルゴを使ったアミューズです。
秋が旬のバターナッツかぼちゃにオリーブ油、独特の甘い香りのある香辛料アニスパウダーを振りかけて、オーブンで火を通し、フォークで粗く潰して爽やかな香りのピューレを作ります。
そして、バターナッツかぼちゃの切れ端を使い、炒めたエシャロットと共にソースにします。ポルト・ブランというお酒や、raifortレフォールという西洋わさびでアクセントを追加していきます。このレフォールは、日本のわさびと比べて、色も薄く、香りも穏やかでとてもマイルドな味わいが特徴です。エスカルゴは、アニスの香りを付けたバターでポワレをして盛りつけます。味のアクセントとして、スイスで食べられているgrisonsグリゾンという、塩漬けして乾燥させた牛肉の小さな角切りや、粒マスタードのピクルスを添えていきます。
こちらの盛りつけは、バルト氏に同行した今期研修生の西川くんが仕上げてくれました。
2品目は鳩の料理です。
鳩はバターで香りを付けながら焼き上げます。仕上げに白醤油と蜂蜜をとろみがつくまで煮詰めたものを皮目に塗って艶をつけます。
つけ合わせには様々な種類の蕪です。蕪は少し厚めに皮をむき、一口サイズのくし形に切り、オーブンで柔らかくローストし、仕上げに艶を出すようにグラッセにしていきます。その蕪にかけるソースとして、砂糖と水あめを軽く焦がし、gentianeジャンシアンというリンドウの根をアルコールに漬けた食前酒を加え、滑らかなキャラメルソースを作ります。
その他のつけ合わせのパーツとして、
・火を通したマッシュルームとアーモンドをミキサーにかけ、コーヒーの香りを付けたペースト
・キンカンのコンフィ
・にんじんとアーモンドパウダーのピューレ、
・白にんじんのピューレ
を用意していただきました。
最後に、鳩の上から日本のふりかけ(ごま)を散らしています。ふりかけは、うま味の詰まった調味料として、最近ではフランスでもよく使われる調味料になってきています。
バルト氏は、フランスの食材以外にも様々な国の食材を使用されていますが、日本やモロッコ等の各国の食材を取り入れられています。ベースはフランス料理ですが、お客様に驚きを与えたいという想いから、自らイタリア、東南アジア、エジプトなど様々な国に旅行に行き、その時に出会った香辛料や食材からインスピレーションを受けたり、古くからある日本の料理をフランス料理にアレンジさせて、応用されているそうです。
今期の調理研究生にとって初めての外来講習だったので、日本で学んだ作業工程とフランス人シェフの考え方の違いや、器具の使い方など研究生からシェフへの質疑応答も多く行われました。
最後に、アシスタントを務めた研究生と記念撮影を行いました!