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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M.François MOUREAUX(フランソワ・ムロー氏)/ AZIMUT(アジムット)/LA POUTRE(ラ・プートル)

フランス校教壇から

2022.11.28


サヴォワのクールシュヴェルCOURCHEVELにあるレストラン「アジムット」とジュラ地方のボンリューBONLIEUにあるホテルレストラン「ラ・プートル」のシェフ、ムロー氏が外来講習に来てくださいました。
季節に応じて2ヵ所のレストランを交互に営業されています。冬から春の時期は多くのスキー客が訪れる
「アジムット」にて、最高の食材をベースにシンプルで現代的な料理を、春から秋の時期は「ラ・プートル」
にて、ボンリューの湖、山、川、森などの自然から着想を得た料理を提供されています。

ムロー氏は「ラムロワーズ」やパリの「トゥール・ダルジャン」など著名店で研鑽を積み、2001年より
「ラ・プートル」を父親から引き継ぎ、2007年より「アジムット」のシェフを務められています。2010年に「アジムット」はミシュランの一つ星を獲得しました。また、ボキューズ・ドール2015年フランス国内大会では2位に輝くなど、確かな実力の持ち主です。

講習ではアシスタントを務めた研修生がシェフの間近で調理の手ほどきを受けながら行われました。

Mousse d'œufs brouillés, crème et duxelle de cèpes ( ou autre champignon)

œufs brouillés(ウッフブルイエ)とはフランス流のスクランブルエッグに相当しますが、一般的なものとは違い、今回は80℃でかき混ぜながら火をゆっくりと通し、その後バターや生クリームを加えて滑らかに仕上げます。その卵をサイフォンという容器に入れ、ガスを混ぜ込んで気泡を抱かせそのまま冷やします。季節の食材であるセップ茸を使い、ソテーしたもの、生のスライス、ソースを作ります。

最後にお客様の前でソースをかけて仕上げられます。
温かいセップ茸に冷やして気泡を入れたウッフブルイエをかけ、さらにその周りには温かいソースがかかります。一皿の中に温度差が付いた料理です。

Tartare d'huitre et bouchons de pommes de terre fondantes Sauce vin blanc au caviar

牡蠣を殻ごと2分だけオーブンに入れて身を取り出します。取り出した身は細かく刻んで、ディルのみじん切り、レモン汁、シトロンキャビアと呼ばれるフィンガーライムの身を混ぜ合わせてタルタルにします。じゃがいもをパイプ状にくり抜いたあと、少し加塩されたバターの中で煮るようにして火を通します。火が通れば、牡蠣のタルタルを中に詰めて仕上げます。ソースはエシャロットをバターで炒め、白ワインを加えて煮詰めた後、生クリームを加え、最後にキャビアを加えて仕上げます。バターをたっぷりと含んだじゃがいもと、ほんのりと温まった牡蠣のうま味と潮の香り、キャビアの香りがソースの軽い酸味と合わさった一皿です。

こちらの料理はシェフがボキューズ・ドールの予選に出たときに作られた料理だそうです。

研究生から冷やした牡蠣をなぜ熱いじゃがいもに詰めるのかという質問に対し、シェフからは牡蠣を加熱した調理をするために、直接加熱すると牡蠣が固くなってしまうのでじゃがいもの中で温めることで加熱することを考えたということを教えていただきました。

また、シェフは何からインスピレーションを受けて料理を考えられるのか、という質問に対しては、食材を並べてみて組み合わせや火入れの方法を考えるのだ、という答えがありました。

講習後、研究生から話を聞くと「料理を考えるとき、自分は使いたい食材や盛り付けから考えていたが、
実際には使いたい食材を選ぶだけではなく使える食材から考えていくこともあるのだと思いました。
またそのために、もっと幅広く食材の勉強をしていきたいと思います。」と、今後のモチベーションに
つながる様子がありました。

最後にアシスタントをしてくれた研究生と。