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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Patric HENRIROUX(パトリック・アンリルー氏)/ Restaurant La Pyramide(レストラン・ラ・ピラミッド)

フランス校教壇から

2022.09.01

今回の調理外来講習は、フランス校から南に約65km。VINNEヴィエンヌにあるレストラン、La Pyramideラ・ピラミッドのシェフ、Patric HENRIROUXパトリック・アンリルー氏にお越しいただきました。

今年で200周年を迎える老舗レストランは、現在のアンリルー氏で4代目のオーナー。先代のPHELNAND POINTフェルナン・ポワンの時代(1933年)に3つ星を獲得し、ポワン氏が亡くなられてからもマダム・マダムがその星を守り続けました。1987年にマダム・ポワンが亡くなられると、その栄光とレストランの灯が消えてしまったのですが、1989年、当時若手の新星であったパトリック・アンリルー氏にレストラン再建の白羽の矢が立ち、1990年には1つ目、1992年には2つ目の星を獲得し、現在までその星を30年以上維持しています。また、フランス国外でも積極的に活動される他、ガストロノミートとビストロの各レストラン、ホテル、ブティックを、ご家族を含め70名近くのスタッフで運営しています。

講習では大きくて抱擁感のあるシェフに、アシスタントの研究生が直接手ほどきを受けました。

1品目

Filet de Turbot au Champagne Dans la Tradition « Fernand POINT »

「鮃のシャンパン蒸し、≪フェルナン・ポワン風≫」

フェルナン・ポワンの時代に考案され、今年200周年を迎えるレストランで実際に提供されているクラシックな料理。鮃のフィレをエシャロット、玉ねぎ、トマト、パセリ、をベースにシャンパン、生クリームの中で蒸し煮にします。ソースは鮃を取り出した後に、さらに煮詰め、サバイヨンを加えて鮃の上からたっぷりとかけて、サラマンドル(上火だけのオーブン)で焼き色を付けて提供します。

この料理はボキューズでもオマージュ料理として今もメニューに載っていること、大好きなシャンパンを飲みすぎてしまうフェルナン・ポワン氏を心配したマダムが、飲み切る前に料理に入れるよう指示したという当時の調理場の様子がうかがえる逸話をとても興味深く聞きました。

2品目

Minestrone de Homard à la Viennoise

「オマールのミネストローネ、ヴィエンヌ風」

1品目とは打って変わって野菜を中心にしたオマールの料理。

ベーコンはバトン状に、ポロねぎ、玉ねぎ、にんじん、セロリ、かぶ、ズッキーニを色紙切りにし、少なめのブイヨンの中でその液体に野菜の味を出しながら火を通します。青い野菜のさやいんげん、さやえんどう、グリンピースは別で火を通して、食感と緑の色をきれいに残し、先の野菜を合わせ、最後にトマトの角切りをフレッシュ感を残すように加えます。通常のミネストローネに入るパスタはあらかじめ短く切っておいてオリーブ油で炒っておきます。

メインのオマール海老ははさみの部分はあらかじめ茹でて殻を外します。しっぽの部分は輪切りにするクラシックな手法。鍋に5cmほどの厚みの粗塩を敷き、レモンの輪切り、タイム、バジリコで香りを付け、ポロねぎの緑色の部分で塩味が直接当たるのを防ぎ、白ワインを少量注ぎ、蓋をして蒸しながら火を通します。鍋ごと客席まで提供しふたを開けると客席にレモンやタイムなどの香草のさわやかな香りが心地よく広がります。

オマールをさばいている作業中、オマールの産地でもあるブルターニュ地方の殻を使った飾りを披露いただきました。

今期の最後の外来講習となりました。

アンリルー氏は料理を作るにあたり大切なこと、コロナ禍で考えさせられたことなど、真剣なお話もありましたが、終始笑顔でグラン・シェフでありながら楽しそうに料理を作る姿は、研究生にとっても大変いい刺激となりました。卒業制作のムニュ・スペシオでは、これまで学習し、蓄えた力を発揮できるように頑張ってくれることでしょう。

アシスタントをしてくれた研究生と記念写真。研究生には撮影の際にマスクを外してもらいました。

天気が良かったのでシャトー前で集合写真を撮りました。