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辻調グループ フランス校

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M. Alain PERRILLAT MERCEROT(アラン・ペリヤ=メルスロー氏)/ Atmosphères(アトモスフェール)

フランス校教壇から

2022.12.12


今回講習に来ていただいたのは、フランス東部サヴォワ地方にある湖、「lac du Bourget」ブルジェ湖のそばの小高い山の上にある「Atmosphères」(アトモスフェール)のAlain PERRILLAT MERCEROT(アラン・ペリヤ=メルスロー)氏です。

このレストランは2009年よりミシュラン一つ星を維持されており、また2022年4月現在世界でも359軒のレストランのみに与えられた、エコロジーに積極的に取り組んでいるレストランの称号「ミシュラン・グリーンスター」も獲得されています。また、ペリヤ氏は2009年に「世界のレストランベスト500」にも選出されました。さらに、フォアグラの名門ルジェ社より最優秀若手料理人として表彰されたこともあります。出身地であるサヴォア地方の食材の、湖の淡水魚、サヴォアのチーズ、サヴォアのワインを中心にレストランで調理されています。

今回の講習では2品の料理を作っていただきました。料理名はありませんので、使われてる食材を記載いたします。

カルドン/牛の骨髄/トランペット茸/ボーフォール

カルドンというアーティーチョークの仲間の野菜を使った料理です。カルドンは繊維質がとても多いので、表面にたくさんある繊維を何回にもわけて取り除きます。その方法をシェフが教壇で見せてくださいました。


それを真横で見る研究生。

カルドンをブイヨンで茹で、牛の骨髄も茹でます。トランペット茸はエシャロットと共に炒めます。サヴォワ地方で生産される、ボーフォールという牛乳を原料としたチーズを使ってソースを作ります。サヴォワ地方で作られた白ワインを沸騰させアルコールを飛ばし、生クリームを加えて温めます。そこにすりおろしたボーフォールをたっぷりと加えて溶かし、ハンドミキサーでしっかりと混ぜ合わせてソースに仕上げます。繊細で淡泊な味のカルドンに、骨髄の油脂、トランペット茸、ボーフォールチーズの旨味がそれぞれ絡み、満足度のある一皿です。


助手に入る研究生は特等席で盛りつけを見ることができます。

オンブルシュバリエ/ブレット/pormonier/

オンブルシュバリエというサケ科の魚を使った料理です。オンブルシュバリエは湖に棲んでいる魚で、フランスでは幻の魚として珍重されています。本日はシェフのレストランのそばの湖から獲れた魚を持ってきていただきました。
ブレットという野菜は日本語だとフダンソウと訳されますが、こちらのものはとても大きいです。白い茎の部分を今回は茹でたあと丁寧な小さな角切りに、緑の部分は茹でてピュレにしています。
Pormonierというのは、サヴォワ地方のソーセージで豚肉、ほうれん草、ブレット、ポロネギ、数種類のハーブが入っています。このソーセージを角切りにしつけ合わせにします。ソースはエシャロットのみじん切りを炒めたあと、先ほどのpormonierを刻んで加え、オンブルシュバリエの骨で取っただし汁を加えて煮詰めます。生クリームを加え味を調えたあと、ブレットの緑の葉の部分のピュレを加えて鮮やかな緑色に仕上げました。オンブルシュバリエは、塩とオリーブオイルを振って80℃のオーブンに入れ、シェフの感覚で火入れをされました。絶妙な火加減で加熱されたオンブルと、pormonierの塩味がアクセントとなり満足度の高い一皿です。

料理作成が終わり、質問タイムに移ります。

研究生からの質問では、使用されたワインや盛り付けについてなどの質問がありました。

お皿の選択の質問には「深い皿が好みで、その理由はおいしい料理をたっぷりのソースで食べてほしいからだ」という趣旨のお話をいただき、バランスよく盛るのは当然のことながら、シェフの料理に対する意識を知り、研究生も新たな知見を得た様子でした。

助手を務めた研究生からは

「とにかく、魚の身の火入れの状態に興奮しました。生じゃないのに、とてもしっとりとして柔らかく、でも旨味が感じられる程度に火が入っていました。オーブンに入れていただけだったのに、凄かったです。」
と、シェフの技に興奮しきりでした。


シェフと助手を務めた研究生