フランス料理の「なぞ」を解く
2008年04月30日
『フランス料理の「なぜ」に答える』に続く、エルヴェ・ティスの料理の科学シリーズの翻訳第二弾。フランスの物理化学者エルヴェ・ティスは、科学知識を生かした料理の創造と進化をめざす「分子美食学」を提唱し、フランスをはじめ西洋の料理業界に多大な影響を与えました。
基礎的な調理技術を分子レベルで解説し、料理に関わる科学的な疑問に丁寧に答えた前作に続いて、実践応用篇として著したのが本作です。アミューズグールからデザートまでのレシピを取り上げ、具体的なプロセスの中で科学的理論を改めて分りやすく解説しています。さらに、昔からレシピの中で繰り返されてきたアドヴァイスの数々を俎上にのせ、科学の視点から再検証して料理のなぞ解きに迫る展開は新鮮で、時に迷宮入りの難題もあるものの、大変興味をそそります。
「もしカレームが生きていたら、科学を学ぶことによって彼の料理を完成させるでしょう」と著者は結びの言葉に記しています。科学が料理と切り離すことのできないものとなった今日、まずひも解いてみたい1冊と言えるでしょう。